失われた…

高校生の頃、友人に「自分のしたことを他人のしたことのように言う」という、自分を客観視する方法について話をしたことがある。「やめろよ、そんな危険なこと」と相手に言う、宛先は自分、みたいな。もちろん日常的にそんな面倒なことをしているつもりなんか全然なくて、ただの遊びで口からでまかせを言っただけなんだけど。うっかり彼がそれを気に入って、気まずい思いをしたものだから今でも覚えている。十数年前。
今、僕が本を読んで何か感想を持つ、たとえば「作者は…なんじゃないか」等。それは実は「僕は…」なんじゃないだろうか。と、自転車で通勤中、信号待ちで本を読みながらどうでもいいことを考えている。あの頃、冗談で言ったことを今頃、無意識でやっているとしたら生きているって楽しい。29歳。